@article{oai:shudo-u.repo.nii.ac.jp:00000072, author = {時政 , 勗 and トキマサ , ツトム and Tokimasa , Tsutomu}, issue = {1/2}, journal = {人間環境学研究}, month = {Feb}, note = {P(論文), ここで,これまでの議論を要約しておこう。(1) 2つの択一的所得概念がある。それは国民所得のヒックス的測度と国民福祉である。前者は動学的最適化問題のハミルトニアンと関連しており,後者は厚生経済学で用いられる分離超平面の一般化である。後者は社会の所得の測度というよりも,社会的富の測度である。(2) これらの測度は,経済の目的 (目的関数の形,割引率) に依存する。すなわち,異なる目的関数や異なる割引率をもつ国は,異なる国民所得の値を持つ。ホテリングの資源減耗モデルは,ヒックス的測度と国民福祉的測度の区別を際だたせて示してくれる。ヒックス的国民所得はゼロではあるが,国民福祉,国富は資源の初期ストックに依存する。両方のアプローチにおいて財・サービスのシャドウプライスが同一であるにも関わらず,そうである。(3) 国民福祉で測られた国民所得の増大は,変数の小さな変化に対しては,厚生の増加を示す。このことは国民福祉が,厚生の真の測度の一次近似であることを意味している。(4) ヒックス的国民所得は,物的資本ストック,自然資本ストックによって完全に表わされる。最後に,上の2つの所得測度に関わる幾つかの実行上の問題点を述べる。ヒックス的国民所得の測定に際しては,ストックの統計が十分にあることが必要となる。経済のあらゆる面でのストックの正確な測定が重要であることを意味する。その中には,大気のような地球公共財であるような環境資産のストックの測定も含まれる。これらのことは,まだほとんど取り掛かられていない仕事である。(世界銀行は,物的資本,自然資本,人的資本の国家への貢献分を評価する準備的試みを行っているが……) 国民所得測度を気候変動のような影響が広範囲に及ぶ現象の評価に用いることには注意を払うことが必要であろう。国民所得は厚生変化の局所的測度である。すなわち一次近似である。自然科学的予想によれば,気候変動は今後100~150年の間に,経済環境に非局所的変化をもたらすとみられている。たとえば,多数の国で農業生産物は気候変動のため大幅に下落するとみられる。こうして本論分で取り上げたヒックス的測度,国民福祉的測度いずれの国民所得も,その様な変化の影響を測るのに適当な測度とは言えない。ヒックス的国民所得測度であるハミルトニアンの値が最適経路上でゼロという値をとるが,これは,経済発展は国民所得の増大であるという通常の観念に対していて,ヒックス的国民所得測度を受け入れ難くしている。}, pages = {19--37}, title = {環境資産を含む国民所得概念の理論的基礎}, volume = {1}, year = {2003}, yomi = {トキマサ, ツトム} }